メッセージ
【景観建築学科】トップランナーからのメッセージ
景観建築について
「景観」という言葉はもともと地理学で使われていますが、最近まで日本では日常的にあまり使われる言葉ではありませんでした。景観とは、地球上に存在する自然やむらや街の姿を視覚的に把握することで成り立つ風景のことを言います。景観は人間にとってとても大切な考え方です。美しい風景や息をのむ雄大な景色はとても魅力的で人を引き付けるため、例えばスイスの人々はそうした美しい景観を大切にしながら生活し、その様子を世界中の人々に伝え、観光に誘って観光立国という生業を成立させているように、景観の価値は人間にとってきわめて重要な要素だといえます。近年日本でも「景観法」という法律が作られて、景観という言葉がようやく社会に広まりつつある状況です。景観を守り、造り、良くすることが社会的に必要になっているのです。世界遺産に登録される地域、地区も、価値が高く人類の遺産として残すべき自然景観や文化景観が評価されて指定されます。このように景観とは価値あるものなのです。
景観建築は、この価値ある景観を守り、修復し、造りだす専門家が中心となる分野なのです。「景観建築」という言葉も日本ではあまり使われる言葉ではありませんでした。これまで日本では欧米特にアメリカで「ランドスケープ・アーキテクチャーlandscape architecture」という言葉を「造園学」と訳して、大学に造園学科が設置されたのが第2次大戦後のことでした。武庫川女子大学景観建築学科はそのランドスケープ・アーキテクチャーを素直に訳したもので、これまでの造園学科と比べると、より一層欧米のランドスケープ・アーキテクチャー学科に近づけようという意図と意欲が感じられます。景観建築学科は、景観についてあらゆる角度から学ぶことができ、その技術を活かしてさまざまな専門家と協力しながら美しい景観を持つ都市や居住環境を生み出すことができる唯一の学科です。
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森山 明
株式会社日建設計 ランドスケープ設計部 アソシエイト